遊戯王の放送10周年を記念したアニメ「10th アニバーサリー 劇場版 遊戯王〜超融合!時空を越えた絆〜」の感想を書いておきたいと思います。ネタバレを含んでいますので、ネタバレを見たくない人には回避を推奨します。
ストーリーについては公式サイトなどで紹介されている通りです。1点だけ追加すれば、タイムスリップした時刻の関係で「30分以内にデュエルの決着をつけなければならない」という制約がありました。基本的には遊星が話の主軸で、十代と遊戯が遊星をバックアップするという役どころです。終盤の夕日のシーンは何とも言えない感慨深さがありました。できることなら、エピローグで十代が自分の時代に帰るシーンは入れてもらいたかったところです。
パラドックスのモンスター収集はかなりの段階まで進んでいたらしく、海馬など歴戦のデュエリストは登場しません。「遊戯王デュエルモンスターズ」(以下「DM」)出身のキャラで登場したのは遊戯を除けば双六とペガサスのみ。「遊戯王デュエルモンスターズGX」(以下「GX」)出身で登場したキャラは十代を除くと大徳寺とユベルです。十代のセリフに出てきた万丈目とヨハンは名前だけ出演した形です。「遊戯王5D's」(以下「5D's」)についてはキャラクターが集合したカットがあったため、単発キャラを除くほぼ全員のキャラクターが画面に出たことになります。
デュエルに目を向けると、遊星たち3人は初期ライフ4000ポイントを共有。ターン順は「パラドックス→遊星→パラドックス→十代→パラドックス→遊戯→(先頭に戻る)」です。パラドックスのデッキはモンスターから魔法・罠に至るまで「Sin」で固められていました。パラドックス役の田村淳さんは上手いとは言いませんが、悪くない演技だったと思います。パラドックスは淡々とした口調のため、演技の粗が目立ちにくい点もプラスに働いていたのではないかと。
3D映像は特集番組などで盛んにアピールされていただけあって、確かに迫力がありました。特にDホイールが散らす火花やモンスターの攻撃は、2Dアニメとは格が違う印象を受けました。3D映像の感覚を言葉で説明するのは難しいです。あえて言うなら、ステレオグラムで立体視した絵がそのまま動くイメージですね。検索サイトに行って「ステレオグラム」で検索すれば、言わんとするところが分かっていただけると思います。
作画に関してはTVシリーズで定評のあった加々美高浩さんが参加していることもあり、満足できるクオリティでした。音楽は「5D's」の蓑部雄崇さんとWall 5 Projectが担当しています。「GX」のBGMと「5D's」のBGMに加え、新規BGMが使用されていました。「DM」で音楽を担当した光宗信吉さんの名前はEDクレジットにありません。ただ、どことは言いませんが「熱き決闘者たち(GX Ver.)」は使われています。劇場の大音響だと一味違う力強さがありました。
総評としては、遊戯王シリーズのファンなら絶対に見て損はない作品です。「DMやGXのキャラクターがもっと出ていれば…」「エピローグがもう少し長ければ…」など心残りな点は確かにあります。しかしながら、「3作品の主人公が一堂に会した」という特殊な設定、そして49分という時間の制約を考えれば「よくやった」と言える内容だと思いました。アニメブックで監督の竹下健一さんが語っていた通り、第2弾や第3弾があれば嬉しいです。
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